沖縄の水中文化遺産と「海底遺跡ミュージアム」総合プロジェクト(東海大学「プロジェクト研究」)

  • 本プロジェクトの目的

本プロジェクトは、代表者らがこれまで沖縄県で実施してきた水中文化遺産の考古・歴史学的評価を踏まえ、石垣島を中心とする地域社会との連携、およびユネスコの指摘する第三の海洋資源である海底遺跡の新たな保全や観光・教育資源としての利用を目的とした「海底遺跡ミュージアム」化の実現を目指す。

  • 本プロジェクトの概要

これまでの経緯と成果
沖縄県の水中文化遺産
海底遺跡ミュージアム構想
屋良部沖海底遺跡(石垣島)
黒島沖海底遺跡
竹冨島沖海底遺跡
今後の計画&スケジュール(2017年度)

  • 海底遺跡ミュージアム構想

 海底遺跡ミュージアム」とは、2009年1月に水中文化遺産保護条約を発効したユネスコが、水中文化遺産の保護と活用を目的として提唱してきた構想で、世界遺産と同じく、世界が共有の財産として取り組む必要性が議論されつつある。

具体的には、海底に残された遺跡をそのまま史跡公園化し、文化・観光資源として活用するということでその保全も実現するという構想であり、バイア遺跡で有名なイタリアのようにすでに実現している国もある。こうした世界的な動きに対し、日本はまだ水中文化遺産保護条約にも批准していない上、その水中文化財行政は大きく出遅れている現状がある(e.g. 小野2014)。

またこれまでに日本国内で試みられてきた「海底遺跡ミュージアム」化を目指した事例には、(1)久米島町教育委員会と久米島博物館が沖縄の久米島で実施した水中文化遺産見学会、(2)アジア水中考古学研究所が九州の小値賀島周辺海底遺跡で行ってきた水中見学会などがある。しかし、いずれも地域の方々によって持続・継続的に実施・運営されるには至っていない。

久米島: http://www.kanko-kumejima.com/archives/9876

参考文献
小野林太郎 2014「沖縄の水中文化遺産と「海底遺跡ミュージアム構想」」『Ocean Newsletter』333号:4-5
https://www.spf.org/opri-j/projects/information/newsletter/backnumber/2014/333_2.html

  • これまでの経緯と成果

本研究プロジェクトで研究対象としている沖縄分布する水中文化遺産群は、本メンバーが「これまで新たに情報を収集し、潜水調査による確認調査を実施してきた遺跡群でもある。このうち沖縄の八重山諸島に位置する海底遺跡群(図)は、本メンバーの片桐が指揮した沖縄県立埋蔵文化財センターによる分布調査や、2004年より国の補助を受けて実施した「沿岸地域遺跡分布調査」において発見・確認されてきた(片桐2006、2009、2010)。これらのうち、石垣島を中心とするいくつかの重要な水中文化遺産と認識される「屋良部沖海底遺跡」、「黒島沖海底遺跡」、「竹冨島沖海底遺跡」を対象とした、東海大学、沖縄県立博物館・美術館、岡山大学(菅浩伸 教授、現在は九州大学)による共同調査が、2012年より開始され、遺跡の位置座標や遺物の分布状況に関する考古学調査を実施したのが最初の経緯である。

八重山諸島に位置する海底遺跡群

  • 屋良部沖海底遺跡(石垣島)

 良部沖海底遺跡は石垣島の西岸沖に位置し、沖縄県内において初めて四爪鉄錨が発見された水中文化遺産である。しかも、同時に計7点が発見されたほか(写真1-3)、沖縄島産の「壺屋焼き」陶器(写真4)が多数、良好な保存状態で確認され、大きな注目を集めている。

本プロジェクトの軸となってきた調査や遺跡見学会も、この屋良部沖海底遺跡がメインとなっており、これまでに各遺物の位置座標の取得、四爪鉄錨のサイズ測量と実測、および協力者の坂上憲光(東海大学海洋学部)が開発した水中ロボットROVによる探索・映像記録調査(写真5-6)を実施してきた。

またこれらの調査で得られた各データと岡山大学によるマルチビーム測量により作成されたD海底地形図国際学会や水中考古学の分野で権威とされるInternational Journal of Nautical Archaeology に発表されたほか、「海底ミュージアム」化においてガイド用の地図として有効活用が期待されている。

  • 今後の計画&スケジュール(2017年度)

2017年度も例年と同じように、10~11月にかけて、石垣島にて潜水調査と屋良部沖海底遺跡での水中文化遺産見学会を計画中です。

(現計画では、2017年11月中旬頃に開催予定)

本年度は、東海大学「プロジェクト研究」としては最終年度にあたるため、屋良部沖海底遺跡を「海底遺跡ミュージアム」として持続的に活用・保護していくための形を作り上げることが目標です。

そのためにも、石垣市の皆様、とくにこれまで協力・支援をして下さって来た教育委員、ダイバー関係者、地元高校の教員&生徒の方々とのより強い連携が重要になると考えています。

またボランティアとして、調査や見学会への参加も募っております。ご関心あります方は、ぜひお問い合わせよりご相談ください。

  • 本プロジェクトのメンバー本プロジェクトのメンバー

小野林太郎(代表/東海大学・海洋学部・海洋文明学科)
木村淳(副代表/東海大学・海洋学部・海洋文明学科)
片桐千亜紀(沖縄県埋蔵文化財センター)
中西裕見子(大阪府教育庁)
川崎一平(東海大学・海洋学部・海洋文明学科)
山田吉彦(東海大学・海洋学部・海洋文明学科)
仁木将人(東海大学・海洋学部・環境社会学科)

  • 本プロジェクトの協力者

坂上憲光(東海大学・海洋学部・航海工学学科)
丸山真史(東海大学・海洋学部・海洋文明学科)
山本裕司(アジア水中考古学研究所)