和歌山県沖ノ島海底遺跡

沖ノ島北方海底遺跡とは

沖ノ島北方海底遺跡は、和歌山県加太沖紀淡海峡の友ヶ島の北側の海域、神島から北北西に位置する周知の埋蔵文化財包蔵地である。明代の中国陶磁器や江戸期の肥前陶磁器などが多数引き揚げられてきた。これら海揚がり陶磁器の存在は江戸時代の記録に確認され、森浩一の研究に端を発し、断続的な研究が行われ、和歌山市教育委員会によって報告書が刊行されるに至る。海揚がり陶磁器で、深日青磁と呼ばれる一群は、15世紀後半の龍泉窯系青磁製品を主体とする。これらが海底から引き揚げられる理由として、紀淡海峡通過中に沈没した船に由来する可能性が指摘されている。積載されていた青磁は、この時期の堺商人が介在した日明貿易と関連も議論されてきた。これらを検証する水中考古学調査の実施の必要性が指摘されていたが、海況と水深の問題から、実施には至っていなかった。

トライミックスガスによる国内初となる水中考古学潜水調査

水中考古学の方法論という観点からは、潜水調査は可能であり、音波探査が有効との指摘も出されていた。一方で、水深50m以上という深度の問題と、海流の問題からこれまで現況確認を行うなどの潜水調査は実施されていない。2017-2018年度「関西湾岸エリアの海文化観光と広域連携プロジェクト」の一環で、改めて沖ノ島北方海底遺跡周辺での、海揚がり遺物の位置確認を、大阪深日漁業協同組合と和歌山加太漁業協同組合の協力を得て、実施した。また水深50m以上の海底遺跡の現況確認をおこなうため、国内では初となるヘリウムガスを使用した混合ガスによる水中考古学潜水調査をおこなった。